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【漫画】狼の口 ヴォルフスムント/久慈光久

狼の口 ヴォルフスムント 1巻 (BEAM COMIX)狼の口 ヴォルフスムント 1巻 (BEAM COMIX)
(2010/02/15)
久慈光久

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太陽はすべて沈めてしまえ
灯り悉(ことごと)く斃(たお)れてしまえ
真っ白な山の暗がりの
けものの道を通るのだ
(1巻帯より)

hartaに改名予定の雑誌fellows!に連載中の中世叛乱活劇。個人的にfellows!作品の装丁の美しさ・格好良さはかなりのものだと思います。同雑誌で有名なのは「乙嫁語り」「乱と灰色の世界」あたりでしょうか。本作もその例に漏れず、作者・久慈氏の特徴である太い描線を最大限に活かした版画のような表紙になっています。カバーを外すと真っ黒の紙に金のインクで印刷がされており、また格好良い。既刊4冊を横並べにすると、全て黒+1色(1巻黄緑、2巻水色、3巻オレンジ、4巻紫がかったピンク)で統一されており、個人的には表紙買いとはこの漫画のためにある言葉かと思うほどです。参考までに、2~4巻の表紙画像をこの記事の末尾に貼っておきます。
しかしながら、この漫画ほど表紙の美しさに騙されてはいけない漫画もありません。まず、物理的・精神的グロ描写が苦手な方や、暴行描写(特に性的なもの)に嫌悪感を覚える方は絶対に読んではいけません。絵面はそこまでグロテスクではありませんが、精神的に中々堪えます。あらすじだけでも胸糞が悪くなる方もいるかと思いますので、この下は自己責任で読んで下さいね。


14世紀のアルプス地方、民衆はハプスブルグの圧制に苦しみ、シュヴァイツ・ウーリ・ウンターヴァルデンの森林三邦は自由を求めて叛乱を企てていた。そのためにはイタリアへと通じる「ザンクト・ゴッドハルト峠」の関所を通らねばならない。だがそこには、笑顔を絶やさぬ優男・ヴォルフラムという代官がいた。この番人の糸の様な眼は国外へと抜けようとする叛乱分子を見逃さず、何人たりとも通行は叶わない。いつしか難攻不落のその関所は「ヴォルフスムント」、すなわち“狼の口”と呼ばれるようになった・・・
ハプスブルグへの叛乱に失敗し、国外逃亡を図る男装の王女とその従者。国外の仲間に情報を届けようとする猛き女戦士や旅芸人の母娘。少年漫画ならば主要登場人物として快刀乱麻の大活躍ができそうな人々が、この関所ではヴォルフラムの掌の上で無残に踊らされ、蹂躙され、処刑され、関所の門前に吊るし上げられる。
しかし叛乱の徒は屈することはない。何人もの犠牲を払い、幾人もの仲間が罠にかかり、どれほどの仲間が拷問され処刑されようとも、虎視眈々と砦を崩す機を狙い続ける。そして、ついに南北からヴォルフスムントへの攻撃を開始した。難攻不落の要塞に、初めて叛徒が進撃する。残酷にして冷静、笑みを絶やさぬヴォルフラムにも焦りの色が浮かび、その死も目前に迫るかというこの時に、ヴォルフラムの上司にして大軍を率いる皇弟レオポルトが叛乱の報を聞きつけていた。砦の突破が先か、レオポルトの到着が先か。


上のあらすじを読んで分かる通り、本作品はとにかく人が無惨に死にます。義の心を持ち、自由を求めて立ち上がった人々が、お代官様・ヴォルフラムの手によってまさに塵芥のように殺されていくのです。だからこそ、読者は叛逆者たちと同じ目線に立ってヴォルフラムを憎めるわけなのですが。
とはいえ、この作品の魅力はその悪代官の残酷っぷりにあると言っても過言ではないでしょう。とにかく人の絶望を煽るのが上手く、「あ、通れるかも・・・」と相手の目に希望の光が宿った瞬間に地獄に突き落としたり、カマをかけたりと様々な方法で密行者をあぶり出します。(もちろんタダの商人や旅人は普通に通しています)そして、いざ叛乱軍が砦に突入しても一筋縄ではいきません。城の防御には凄まじい拷問じみたギミックが仕込まれています。壁を登って攻め込もうとすれば溶けた鉛をぶっかけられて一瞬にして顔面が焼け落ち、側面の山道から突入しようとすれば予めポイントを定められていた岩壁が頭上に崩れ落ち、地下から忍び込もうとすれば煮えた油が襲いかかり、いざ内部に入ったかと思えば床は落ちるわ格子で封じられるわ。二転三転してどちらが勝ってもおかしくない戦況が続きます。一応叛逆者側の主人公格として、ヴィルヘルム・テルの息子ヴァルターがいますが、彼も最後まで生き残れるか全く予測がつきません。


掲載誌fellows!が隔月刊のため、単行本の発刊ペースがかなり遅くやきもきさせられた本作ですが、hartaはほぼ月刊(年10回刊)とのことです。ということは、いま既刊1~4巻を読んでおけば新刊に間に合いますよ!残酷な物語ながら、容赦無い展開と独特の画風、いつか訪れる自由のカタルシスへの期待が相まって素晴らしい作品となっています。結末によっては大きく評価が分かれるかもしれませんが、今は待つのみ。繰り返しになりますが、グロテスクな描写・暴力表現が大丈夫な人はどうぞ。


↓表紙はこんな感じ
狼の口 ヴォルフスムント 2巻 (ビームコミックス)狼の口 ヴォルフスムント 2巻 (ビームコミックス)
(2010/10/15)
久慈光久

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狼の口 ヴォルフスムント 3巻 (ビームコミックス)狼の口 ヴォルフスムント 3巻 (ビームコミックス)
(2011/11/15)
久慈光久

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狼の口 ヴォルフスムント 4巻 (ビームコミックス)狼の口 ヴォルフスムント 4巻 (ビームコミックス)
(2012/09/15)
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