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【漫画】トラウマイスタ/中山敦支

※この記事には本編展開の重大なネタバレ要素がありますので、未読の方はご注意下さい。



トラウマイスタ 1 (1) (少年サンデーコミックス)トラウマイスタ 1 (1) (少年サンデーコミックス)
(2008/11/18)
中山 敦支

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トラウマは、逃げるためにあるのじゃなく、乗り越えるためにある。
乗り越えるための力こそ、勇気なのよ。
(第1話より)

穢れ無き少年少女の友情、実に美しき作品だ。
君はやはり人を魅了し夢中にさせる魂の持ち主だ。
おお、神よ。許し賜え。美しきものを破壊する行為を。
愚劣なる神よ。糞っ垂れの神よ。
バカで、マヌケで、ああ・・・クソアァーメン!!!!!
(第43話より)




現在ヤングジャンプで戦う漢女の漫画「ねじまきカギュー」を連載中の中山敦支氏が少年サンデーで連載していた作品です。
基本的には可愛らしいちょっとデフォルメチックな画風ですが、中山氏の最大の特徴は、心理描写における狂気的な演出でしょう。捻じ曲がり、崩壊し、ヒトの心情の根底の根底に眠る原初的な何かが溢れ出るような迫力を感じさせる筆致はデビュー当時から読者を圧倒します。
少年誌での連載に「トラウマ」という題材を起用したことからも、なんとなく氏の傾向が窺い知れる気もします。

さて、本作は全5巻で完結しており、1~3巻と4~5巻であまりにも方向性と話の重さが違うことで有名(?)な作品です。方向性の違い、と書きましたが、各巻の表紙を見れば歴然。上掲の1巻と、下に紹介する2~3巻は明るめの色合いにいかにも少年漫画といった体の表紙になっています。(1巻はちょっと恐いですが。)
▼2巻
トラウマイスタ 2 (少年サンデーコミックス)トラウマイスタ 2 (少年サンデーコミックス)
(2009/01/16)
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▼3巻
トラウマイスタ 3 (少年サンデーコミックス)トラウマイスタ 3 (少年サンデーコミックス)
(2009/04/17)
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ところが、4~5巻の表紙になると、もう明らかに雰囲気が違います。4巻は幼女の足の間から登場する変態、5巻は狂気を孕んだ主人公のドアップが強烈な色合いで描かれています。
▼4巻
トラウマイスタ 4 (少年サンデーコミックス)トラウマイスタ 4 (少年サンデーコミックス)
(2009/07/17)
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▼5巻
トラウマイスタ 5 (少年サンデーコミックス)トラウマイスタ 5 (少年サンデーコミックス)
(2009/08/18)
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では、何故このような劇的な変化があったのか?あらすじをご紹介します。



※本編の重大なネタバレを読んでも大丈夫な方は、「続きをよむ」からどうぞ。


高校生・ピカソには、強烈なトラウマがあった。それは「鬼」。ホラー映画、鬼のイラスト、「鬼」という漢字すらも恐ろしくてたまらないのである。そのせいで女の子には呆れられ、未だに彼女無しの残念な高校生活を送っている。

そんなピカソの下に、突然ひとりの美少女・スジャータがやって来る。
彼女が言うには、ピカソは「世界を救う希望の光」らしい。
そして1本のお香「反魂香」を取り出し、火をつけると  鬼の化物が現れた。
この鬼はピカソ自身のトラウマの具現化したもの「アートマン」であって、ピカソにはこのトラウマを打ち破り、アートマンを使役する力があるらしい。
制限時間は反魂香が燃え尽きるまでの10分間。それまでにトラウマを克服し、アートマンを従えなければ、ピカソは自分のトラウマに飲み込まれて自我を失うこととなる。
果たしてピカソは、アートマンを操る者「トラウマイスタ」になることができるのか?


無事に自分のトラウマを克服し、アートマン「ゲルニカ」を使役することに成功したピカソは、スジャータの正体と目的を知る。
なんとスジャータ自身、シエナという女性のアートマンだったのである。シエナは現在「チャンドラカンパニー」という組織に幽閉されており、彼女を助け出したいのだという。チャンドラカンパニーは、反魂香を悪用しようとしており、シエナは囚われの身でありながらも、自らのアートマン・スジャータを使って、仲間となるトラウマイスタを集めているのであった。

スジャータが集めた仲間は、ピカソの他に全部で3人。
マッチョな野生児・茶風倫太郎(通称チャップリン)とアートマン「ライムライト」。
大食いツンデレ少女・羽生瑠々花(通称ファーブル)とアートマン「昆注器」。
ぼっちのスーパーアイドル・センゴとアートマン「村正」。
4人のトラウマイスタで、チャンドラカンパニーの刺客と激闘を繰り広げるうちに、ピカソとスジャータの距離は縮まっていく。

そこに彼が現れた。チャンドラカンパニー契約社員にして7体のアートマンを従える男、ダヴィンチ。
ピカソ達を窮地に追い込んだチャンドラ幹部を一瞬で倒した彼は、圧倒的な力量差にも恐れないピカソを非常に気に入り、この少年が強く成長したところを見たいと欲した。
ダヴィンチは自らのアートマンの一体「受胎告知」をスジャータの体内に埋め込み、宣言する。

七つの夜が過ぎ、その間に「光の真理」を悟った少年と吾輩は再び死合うだろう。
そして少年はこの約束を他言することはないだろう。


この「受胎告知」により成された宣言の効果はただひとつ、「約束が果たされなかった場合、『受胎告知』を埋め込まれた対象物は爆発する」。すなわち、ピカソは7日後に最強の敵・ダヴィンチと再戦しなければならず、しかもそのことを誰にも相談できないのである。もしも再戦から逃げたり、誰かに他言すれば、その時点で「受胎告知」を埋め込まれたスジャータは爆死することとなる。
ここに、ピカソの本当の戦いが始まった。

ダヴィンチとの再戦を翌日に控えた6日目の夜、厳しい修行を終えたピカソは静かな自信に満ち溢れていた。そして遂にスジャータに告白する。
「ああ、オレはこの人に出会えて良かった。
 この人のためなら、命を懸けて戦うことも怖くはない!!!」

そう強く心に誓ったとき。



「やっぱりもう、待てなかったびん」



まだ7つの夜は過ぎていなかった。6日しか経っていなかった。にもかかわらず、ダヴィンチは再戦に現れた。
つまり、「受胎告知」の約束は果たされなかったのである。

そして、ピカソの目の前で、今まさに愛を誓い合ったばかりのスジャータは爆ぜて肉塊となり飛び散った。
チャンドラカンパニーの黒幕・二千恵すらも葬り去ったダヴィンチは、ピカソの前に立ち塞がる。

「吾輩にとっての、望みとは・・・ 少年の、苦痛。」

究極の愛と究極の憎しみ、その光と影の融合こそが人間の極みであり、永遠の美であり、筋肉を持った真理であると信じるアーティスト・ダヴィンチ。彼の狂気を越えることは出来るのか。





長くなりましたが、以上があらすじとなります。
ご覧の通り、3巻ラスト~最終巻まで、漫画史上に残る変態・ダヴィンチが全てかっさらっていきます。
というわけで、このダヴィンチというキャラクターについてご説明しておきましょう。

見た目はまあ漫画のキャラクターとしては許容範囲内の青年ですが、言動がブッちぎりでイカれています。
特筆すべきは自分のアートマン・モナ=リザ(4巻表紙の幼女。かわいい。すごくかわいい。)を溺愛している点でしょう。
初登場時はモナの股間から滑り落ちるように登場、家に帰ればモナの顔をペロペロしたり脚(というかもはや股間)をモグモグしたりとやりたい放題です。これ少年サンデーだぞ。
しかもモナちゃんは嫌がってません、むしろ嬉しそう。羨ましい変態だ。

そして、その戦闘力は圧倒的です。修行したピカソも片手であしらう余裕っぷりで、全編を通して作中最強の座が揺らぎませんでした。実は、これはバトル漫画においては貴重なのです。大体は、ボスが徐々に弱体化するか、主人公勢がインフレしていくことが多いのですが、本作は一貫しています。
では、最終決戦はどのような結末になったのか?それは、是非ご自分の目で確かめて下さい。
(私としては、ダヴィンチは勝ち逃げのような気がします。彼は何一つ失わず、目的もしっかり達成して満足してますからね。)

勿論、ダヴィンチ以外のキャラクターも個性豊かな面々ばかり。個人的には、報われないバカ・チャップリンを推したいと思います。実は、彼は中山氏の短編(集英社から『9速眼球アクティヴスリープ』のタイトルで出版されています)に登場しているキャラクター・ベンケエのスターシステムです。作者ご自身が気に入っているというだけあって、シンプルな見た目と性格ながらもいい味を出しています。
彼はスジャータに好意を持っているのですが、完全に相手にされてません。しかも体力バカなうえ、浮浪児でちょっと汚いという不憫なキャラクターなのですが、本人が明るく無鉄砲なアホなので、読者に嫌悪感を感じさせないように絶妙な動かし方をされています。作者の中山氏は、こうした登場人物の動かし方が巧い方だと思います。

本作一番の見所はダヴィンチ登場以降ですが、ラストは1巻冒頭のスジャータとの出会いにしっかり繫げてくるという点において、1~3巻の展開がきちんと下地になっており、物語の収束のさせ方が秀逸であるといえるでしょう。
怒涛の展開を見せる狂気と勇気の少年漫画、是非御一読してみては?

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