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【漫画】忍びの国/原作:和田竜 作画:坂ノ睦

忍びの国 1 (ゲッサン少年サンデーコミックス)忍びの国 1 (ゲッサン少年サンデーコミックス)
(2009/12/12)
和田 竜

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俺はようやく確信した!
伊賀の者どもは人の心をもたぬということを・・・!!
古来続く裏切り稼業が、伊賀者から人の心を抜き去ってしまった。
もはや・・・伊賀の者どもは人ではない――――
(第10話より)


映画化された「のぼうの城」が有名な和田竜氏の同名小説のコミカライズが本作品です。上の画像からもお分かりの通り、全編にわたり毛筆で描いたような(というか実際にそうなのでしょうか?)タッチが特徴的で、戦乱の世の人々を描くのにぴったりな味のある画風です。しかも本作が初の単行本だそうで、坂ノ氏を抜擢した方はすごい。



伊賀の国は忍びの国。人を人とも思わず、裏切りと策謀の限りを尽くし、常に金儲けのためだけに戦いに身を投じ敵を殺す、人外の術を身につけた伊賀者たちは、他国からも恐れられる存在であった。中でも最強の忍びと謳われ、「あの者の前に門は無し」と称される程の超人的な身体能力を有する忍び・無門は、攫ってきた美女・お国の尻に敷かれまくり、稼ぎの少なさを叱咤される毎日を送っていた。
ある日、伊賀者同士の戦争の最中、無門は「敵方の次男・次郎兵衛を殺せば百文の報酬を出す」との上司の提案に乗り、次郎兵衛を容易く殺害する。しかし、そのことが次郎兵衛の兄・平兵衛の恨みを買うこととなる。人殺しに何の呵責も覚えず、肉親の情すら捨てた忍びの生き方に憤りを覚えた平兵衛は伊賀に見切りをつけ、去っていくのであった。

その頃、日本中に勢力を伸ばしていた織田家は、信長の息子・信雄が伊勢を攻め、伊勢の旧家臣団を配下に置くことに成功していたが、その主戦力である天下一の武士・日置大膳は、自分の旧主を討たせた信雄を新しい主と認めようとしない。そんな折、伊賀から出奔してきた平兵衛が信雄のもとに現れ、伊賀攻めを進言する。父・信長からは「伊賀には手を出すな」と禁じられていた信雄であったが、反抗的な大膳の態度や自分を認めてくれない父に対するコンプレックスが爆発し、伊賀攻めを強行することを決める。しかしその決断は、伊賀の滅亡を悲願する信雄の部下にして元伊賀者である柘植三郎左衛門や、戦での金儲けを企む伊賀者たちの思う壺であった。
権謀術数が渦巻く中、伊賀と伊勢の、忍びと武者の、そして無門と平兵衛の決着が近づく。


以上のあらすじから分かる通り、大筋は「伊賀(忍び)vs.伊勢(織田家の武士団)」の構造となります。その中で、策を弄して暗躍する伊賀者たちや、伊賀に恨みをもつ元伊賀者たちの陰謀合戦が展開され、読者は最後までどちらが勝つのか分からないほどに戦局が二転三転します。土の中や木の上から音もなく襲い来る忍びたちと、武力で蹴散らす武士たちという対照的な二者の激闘が迫力ある筆致で描かれている点が本作の魅力といえるでしょう。

この作品は、勿論時代物として読んでも面白いのですが、その本質は極めて少年漫画的であるように思います。初めに引用したように、この作品では「人ではない」者と「人であろうとした」者がくっきり二分されています。
前者はもちろん伊賀者たちであり、彼らの行動原理は「金儲けをするためなら何でもする」で一貫しています。精神的に成長することもなければ、迷うこともなく、ただただ目的のためには手段を選ばず進みます。一方、後者は武士たち、そして忍びの在り方に耐えられなかった柘植や平兵衛です。彼らは忠義や家族愛や友情のために迷い、騙され、戦いの中に身を投じ、そして成長していくのです。そのプロセスはまさに少年漫画のそれであって、青年誌でも十分に通用しそうな本作が「ゲッサン(=月刊少年サンデー)」に掲載されていたことも頷けます。無論、主人公・無門も例外ではありません。最強の忍びとして名を馳せていた無門が、お国との出会い、そしてこの戦いの中でどう変わっていくのか。彼は忍びなのか、人間なのか。

全4巻という短い物語ながら、合戦物語としても人間ドラマとしても非常に濃密な秀作です。劇画調過ぎない絵柄のため、老若男女問わずお勧めの作品。ぜひ一度手に取ってみては如何でしょうか?
ちなみに、個人的には、①お国ちゃんの可愛さ(野郎ばかりの本編での貴重な清涼剤) ②初登場時には父の七光りのワガママ息子であった信雄の人間性の成長っぷり(コイツはまさに少年漫画の主人公になれそう) ③日置大膳の異常な格好良さ(もはや主人公より大ゴマとか見開き使ってるんじゃないかレベル)も推したいところです。

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